精巣がんとは
精巣がんは、精巣(睾丸)にできるがんです。20〜30歳代の若い男性に多いという特徴があり、早い段階で気づいて受診すれば、片側の精巣を摘出する治療で治癒が期待できる病気です。転移がある場合でも抗がん剤がよく効くため、治療により治癒をめざせることがあります。ただし、部位の性質上、受診をためらいやすく、その遅れが治りやすさを左右することもあります。気になる変化があれば、早めに泌尿器科を受診してください。
精巣は陰嚢の中に左右ひとつずつあり、精子や男性ホルモンをつくる大切な臓器です。ここにできるがんが精巣がんです。発症は比較的まれですが、20〜30歳代の男性では最も多い固形がんとして知られています。
がんが小さいうちはほとんど症状がなく、精巣にしこりができたり、片側が大きくなったりして気づくことが多いものです。痛みを伴わないことが多いため、放置されやすい点に注意が必要です。子どもの頃に停留精巣の手術を受けた方は、発症のリスクがやや高いとされています。
精巣がんには大きく「セミノーマ」と「非セミノーマ」の種類があり、種類や進行度によって治療方針が変わります。精巣の中だけにとどまっていれば、その側の精巣を摘出することで治る可能性が高く、リンパ節や肺などに転移した場合でも、抗がん剤治療がよく効くのが特徴です。
精巣がんの症状
精巣がんは、左右どちらかの精巣の変化として気づくことがほとんどです。主な症状には次のようなものがあります。
- 片側の精巣にできる、痛みのないしこり
- 片側の精巣が大きくなる、左右の大きさの差が目立つ
- 軽い痛み(しこりの内部で出血した場合)
入浴時や性行為の際に気づいたり、不妊の検査で偶然見つかったりすることもあります。また、進行して転移すると、お腹のはりや足のむくみ、咳や息苦しさ、首のリンパ節の腫れ、乳首の痛みなどがあらわれることもあります。「以前と比べて精巣が明らかに大きくなった」と感じたら、できるだけ早く受診しましょう。
精巣がんの検査・診断
まず問診で、いつ頃から腫れやしこりに気づいたか、痛みの有無などをうかがいます。精巣の腫れは、陰嚢水腫や急性精巣上体炎、精巣捻転など別の病気でも起こるため、診察で見分けていきます。
検査では超音波(エコー)で陰嚢の中を調べます。精巣がんの場合、精巣そのものが腫れて内部がまだらに見えることが多く、この時点で精巣がんが疑われる所見を確認できることがあります。あわせて血液検査で腫瘍マーカー(AFP・hCG・LDH)を調べ、がんの種類や進行度の手がかりとします。当院では超音波検査と腫瘍マーカーの採血を院内で行えます。
そのうえで、がんの種類の詳しい分類や転移の有無を調べるために、CTやMRIなどの画像検査が必要になります。精密検査や、その後の治療が必要な場合は、連携する医療機関へご紹介します。
精巣がんの治療
精巣がんの治療は、まずがんのある側の精巣を摘出する「高位精巣摘除術」から始めます。摘出した精巣を顕微鏡で詳しく調べることで、がんの種類や悪性度を確定し、その後の方針を決めていきます。
がんが精巣の中だけにとどまっていれば、この手術で治癒が期待でき、再発リスクが高い場合には予防的に抗がん剤治療を追加することもあります。リンパ節や肺などに転移がある場合でも、精巣がんは抗がん剤がよく効くため、複数の薬を組み合わせた治療で治癒が期待できます。これらの手術や抗がん剤治療は専門的な入院治療となるため、当院が連携する適切な医療機関へご紹介します。
なお、治療によって精子をつくる力が低下することがあるため、将来お子さんを希望される方は、治療前に精子を凍結保存しておく方法もあります。気になる場合は治療前にご相談ください。また、治療後も再発がないか、残った側の精巣に異常がないか、定期的な受診とセルフチェックを続けることが大切です。